香港ビジネス基礎知識

(1) 会社(事業体)の形態

① 会社形態

 株式有限責任会社(Company limited by shares):公開会社及び非公開会社に分かれます。日系企業進出の際には、実質的に非公開会社となります。最低資本金の定めはなく、資本金1HKドルで設立することもできます。

② 会社形態以外

 駐在員事務所(Representative office):本社との連絡業務・情報収集を行えるが、営業活動は禁止されています。

 支店(Branch office):外国会社の支店開設は認められています。

 

(2) オフショア・カンパニー

香港ではオフショア・カンパニーを設立することも簡単にできます。英領バージン諸島(BVI)が一般的ですが、これらの会社はオフショア現地及び香港で事業を行わない限り、オフショア現地及び香港で課税されることはありません。

 

(3) 法人設立の手順

定款等の必要書類を会社登記所に提出すると、通常4週間程度で、設立証明書が発行されます。その後、銀行口座の開設を行う必要がありますが、各銀行で条件が異なります。最近は、マネー・ロンダリング規制を受けて、各行の審査手続は厳しくなる傾向にあるようです。

 

(4) 経済環境

香港は、資本移動が自由であり、輸入規制や外国為替管理がほとんどないのが特色です。税率も低く、相続税もなく(2006年撤廃)、香港ドルが米ドルにペッグしていること等から、金融の拠点として使い勝手に優れており国際的な貿易・金融センターとしての成長を続けています。香港の税率自体が低く、オフショア所得及びキャピタルゲインは課税の対象外とされており、税制も投資の拠点として魅力あるものとなっております。

 

(5) 香港会計・税務申告・監査制度

香港において事業を行う企業・個人は、事業所得税の税務申告を年次で求められています。課税年度は毎年4月1日から3月31日までですが、法人は決算期を年1回に定め、その決算書を基に申告することができます。申告時には、全ての会社に対して、香港公認会計士による会計監査を受けることが義務付けられています。

 

① 一般事業会社にかかる税

 事業所得税:法人、個人事業主等の事業所得に対して課税されます。税率は、法人16.5%、個人15%です。

源泉税:原則として、源泉徴収制度はありません。ただし、非居住者に対して香港源泉となるロイヤルティを支払う場合には、ロイヤルティにかかる税額相当分を税務局に納税する必要があります。

 その他:資産所得税、事業登録税、印紙税、不動産税、宿泊税

 

② 個人にかかる税

 給与所得税:香港を源泉とする給与所得に対して課税されます。標準税率は、16%です。課税年度は毎年4月1日から3月31日であり、給与所得税申告書提出後、当局から送付される賦課通知書に基づいて納付します。

 

③ 二重課税防止についての租税条約について

香港の場合は、課税対象となるのが、香港源泉所得に限られるため、二重課税が発生するケースは極めて少ないです。タイ、ベルギー、中国本土とのみ二重課税防止協定を締結しています。なお、日中租税条約の香港への適用はありません。