会計・税務の勘どころ

その1 コミュニケーション

国が違えば会計・税務の制度を含めた事情が異なります。日本の事情とどこがどう違うのか、本社として把握しておかなくてはならない事があります。よく見かけるのは、子会社管理を現地の駐在員に任せきりにしており、本社が現地の事情に疎くなっているというケースです。

これを解消するには、本社が現地からの情報を吸い上げる、現地法人を往査する、現地会計事務所に話を聞く等がありますが、お客様の要望に応じて支援いたします。

 

その2 税務上のリスク

税務上のリスクは、いくら強調しても強調しすぎることはありません。 中国側でリスクが生じる場合もありますし、日本側で生じる場合もあります。両側から問題とされ、二重課税が解消しないというケースも実際には出てまいります。

 

☑技術支援者派遣の問題

☑駐在員の給与の問題

☑生産ライン立ち上げ時のPEの問題

☑ロイヤルティ料率の問題

☑国外関連者寄付金課税

☑移転価格税制等々・・・

 

これらの税務リスクを認識していなかったために、無防備のまま税務調査で多額の更正を受けるという事態は避けたいものです。 この分野は、税務のプロフェッショナルの分野ですが、日本国内の税法実務もさることながら、租税条約等にかかる国際税務の経験が必須となります。

 

その3 連結会計

現在のところ特に製造業に顕著ですが、コスト競争力をつけるために、企業の生き残りをかけてアジアに進出する企業が増大しています。本社では主として研究開発を行っているものの、製造ラインの大半をアジアに移してしまっているために、アジアでは黒字、本社では赤字となっているところが珍しくありません。そのような会社は、本社の単体決算をみると営業利益が赤字になっており、海外からの配当収入を得ることによって経常利益で黒字を保つというのが一つのパターンになりつつあります。

このような企業グループの親会社の単体財務諸表だけ見ても、企業グループの本当の実力というものが見えてきません。企業グループの本当の財政状態・経営成績を反映させるためには、連結財務諸表の作成が不可欠になります。銀行に説明する際にも、連結財務諸表の方が説得力があるでしょう。

 

連結財務諸表作成についての典型的な誤解と過ちは、連結会計システムを導入しないと作成ができないというもので、システム導入や構築に莫大な費用をかけすぎてしまうことです。本当のところは、システムに頼らなくても連結財務諸表の仕組みを知っていれば、エクセルで十分なものが出来上がってしまうのです。